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健全な投資事業であるために必要なもの

投資ファンドの健全性は、一定のプロフェッショナルなメンバーによる出資を原資として信用性のある営業者が健全な事業に対して適切な投資活動を行い、効率的に利益を上げ、出資者に投資効率の高いリターンを還元することを前提に、弁護士、公認会計士等、独立した専門家の関与の下、適法且つ公正な監視がなされ、投資家に対して、投資事業全体の内容及び財務内容に関する情報提供が必要十分になされるシステムを構築することにより担保される。これが今日的事業ファンドの信用力であり生命線であるといえる。

その現状は

投資ファンドを悪用した大型詐欺事件が過去に何件も起きている。記憶に新しいのが、海外での架空のエビ養殖事業話を餌にした詐欺事件である。この事件は、@匿名組合方式を利用した合法的ファンド組成方法であったこと、A詐欺的要素の無い健全なファンドと同様な信用性をアピールするために海外現地視察、研修旅行等を実際に行っていた等、巧妙な手法が用いられていたことから数多くの投資家が被害にあった。

本件事件のファンドの実態を見れば、多くの問題点があったことが判る。すなわち、B有名人等を広告等として招聘しての不必要なパーティー開催、C紹介者への報奨金というマルチ商法的手法により一口10万円という少額の投資口数で不特定多数の莫大な人数の投資家を集めていたこと、D専門家による内部的監査及び情報公開が適切になされていなかったことなどである。決定的なのはこのCとDである。投資ファンドの「肝」は投資先の事業であり、「金を集めることが先にありき」という営業者の動き自体が到底健全なファンド事業とは言えない。

投資家に対して巧みな口調でお金を集め私的な個人又は企業に利権を抑え表面的には投資家に一切報告せずあたかも利回りが出たかのように又別の投資家からのお金を配当・ボーナス配当と偽って回転投資を行い自分の資産を肥やすという悪徳者も存在する。

また、営業者による説明だけでは投資家への情報公開としては不十分である。説明内容の信憑性に対する担保が無いからである。その信用力の不足を補完するためにBのように有名人等を広告等として招聘して不必要なパーティーを開かなければならなくなるのである。健全な投資事業と上記事件における詐欺事業とは、事業内容の説明に虚偽事実が含まれているかどうかという決定的相違点がある。

上記事件では、実際にはエビ養殖の実体は全く存在していなかった。しかしながら、投資家が外部から見ても事業実態があるか否かは明らかではない。Aの投資家による海外現地の視察というのは有用にも思えるが、実際に投資家が現地訪問を行ったとしても、本当にエビの養殖事業を行っているかなど簡単に判るものではない。結局、独立した専門家(特に会計監査人による第三者機関による監査がなされているかが重要である。)による適法且つ公正な監視が効果的に働いているか、それを前提に、営業者から投資家に対して適宜ガラス張りに近い形で必要且つ十分な情報提供がなされているかどうかが重要なのである。

投資事業を行なうにあたって

投資事業は必ず成功するものではない。健全な投資事業であっても失敗に終わることはある。重要なのは、投資家に対する投資前の事前説明と投資後の情報提供である。投資には失敗も付き物である以上、投資家に対しては、良い情報も悪い情報も全て伝達されなければならない。また、投資事業には、ハイリスク・ハイリターンのものも数多く存在するが、堅実且つ適正な利回り設定である方が望ましい。過大な高利回りを謳う投資勧誘は、射幸心を煽る詐欺的な話である場合が多い。

要は、健全な投資事業であるためには、公正なチェック体制を構築したうえで、投資家に対する十分な説明を含めた適切な情報提供を行い、営業者を中心に投資家も含めた共同事業を行っているという参加メンバー全員の覚悟が肝要なのである。

プロフィール

弁護士 尋木浩司 ことぶき法律事務所パートナー弁護士

昭和42年12月5日生 福岡県出身
2000年弁護士登録 東京弁護士会所属
不動産実務、知的財産権、企業法務全般に精通
日本商標協会理事、弁理士会コンプライアンス委員会副委員長
1967 兵庫県神戸市生
1990 中央大学法学部卒
1997 司法試験合格
2000 東京弁護士会登録
2000 ことぶき法律事務所入所
◆メッセージ
社会の流れに敏感に反応しクライアントのニーズとズレのないリーガルサービスを迅速に提供させていただきます。
モットー
庶事光明
ノブレス オブリージュ
◆経歴・著作等
2000 弁理士登録
2002〜 社外監査役
〜現在 著作権法学会会員
〜現在 日本商標協会理事
著作等
週刊住宅新聞「Why Not」連載 隔月誌ワンズON-LINE「大家さんのためのやさしい法律講座」連載その他不動産賃貸に関する著作(連載)多数

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